アコメヤの「和食に合う珈琲」を作るコクテール堂のこだわり|AKOMEYA TOKYO

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アコメヤの「和食に合う珈琲」を作るコクテール堂のこだわり

今回のAKOMEYA通信では、アコメヤの珈琲を開発しているコクテール堂の中山さんにインタビュー。アコメヤとの出会いから、コクテール堂の珈琲の特長、今回アコメヤで新発売する「中浅煎り」について、「和食に合う珈琲」とは?など、じっくりお伺いしました。


コクテール堂とアコメヤの出会い

アコメヤ:まず、コクテール堂さんとアコメヤの出会いからお聞かせください。

中山さん:アコメヤ1号店である銀座店のオープン前(2012年)、商品開発をされている中で、「和食に合う珈琲」というオーダーのもと、6社ほどがコンペで集められました。審査員の方々の前で珈琲を抽出し、どの社の珈琲かわからないようにして、審査員の方々には目隠しをして珈琲を飲んでいただきました。
 その中で、自慢になってしまうのですが…満場一致でコクテール堂の珈琲を選んでいただきました。

アコメヤ:素晴らしいです!

中山さん:ありがとうございます。コンペでは「アコメヤブレンド」1種類だったのですが、当時銀座には「アコメヤ厨房」があり、そこでアイスコーヒーをメニューとして提供したいという要望があり、アイスコーヒーに適していてホットでも飲めるものとして、「ダークロースト」も作りました。その2種類が開業前までに開発されたオリジナルブレンドです。

新商品「中浅煎り」

アコメヤ:開業時は、今より種類が少なかったですね。

中山さん:その後何年かして、実はアコメヤブレンドは世間の珈琲屋さんの豆と比べると、マイルドなタイプではないんですね。ある程度焼き込んであるんです。それで、もう少しライトなものをということで「ライトロースト」を開発しました。

アコメヤ:そして今回、さらにライトな「中浅煎り」を新発売します。それにあたり、ダークロースト⇒深煎り、アコメヤブレンド⇒中深煎り、ライトロースト⇒中煎りと、名称も変更します。

中山さん:はい。お客様の声では、ライトローストよりももっとライトなものが欲しいというのがありました。一般的なライトローストと比べると、しっかり火が入っているということで。ただ珈琲の業界では、ダークローストやライトローストの数値化された基準がないのです。

アコメヤ:そうなんですね。

中山さん:「ライト」も表記としては問題はないものの、一般的なライト寄りのものがラインナップにあってもよいのでは、ということで今回開発することになりました。


ロースト(焙煎)の違いについて

アコメヤ:ローストの違いについて詳しく教えてください。

中山さん:珈琲の味の強さの出し方は2つあります。1つは短時間で焙煎すること。コーヒー豆は生のままだと緑色ですが、これを焼くとベージュになって、茶色になって、焦げ茶色になり、だんだん苦味が増していきます。
 生のコーヒー豆にはカフェインが一番多く、焼けば焼くほど減っていきます。ただ、豆の香りも減っていくのです。ある点を超えたところで、窯の中に煙がこもって、その煙の中の糖質や脂質をカラメル化させて、プリンのカラメルのように甘いものを豆に付けていきます。ですから、コーヒー豆の味の強さなのか、焙煎による味の強さなのかで言うと、ナポリなどで飲まれているダークローストは後者、北イタリアは前者ということになります。


コクテール堂のエイジングコーヒーの特長

アコメヤ:コクテール堂さんは、エイジングコーヒーを専門とされていますが、豆をエイジングさせることでどんな変化があるのでしょう。

中山さん:コーヒー豆の中には「クロロゲン酸」という苦味のもととなる成分があり、エイジングをさせることでそれが減少し、甘味を感じやすくなります。

アコメヤ:どんな場所でエイジングをしているのでしょうか。

中山さん:コクテール堂は74年前に国分寺で創業しました。当時は住宅地ではなく風通しがよかったので国分寺でエイジングをしていたのですが、だんだん宅地開発されて風が通らなくなり、エイジングにかかる年数が長くなってしまいました。そこでエイジングのためにより良い環境を求めて、山梨県韮崎市にたどりつきました。日本で一番日照時間が長い明野村のすぐ下に位置します。雨が少なく、釜無川と塩川という二本の川沿いに山からの風が吹きおろしてくるので、その標高500mの山の斜面に工場を建てたのが33年前です。

アコメヤ:豆のエイジングに一番適した土地を探して今の場所にたどり着いたのですね。

中山さん:はい。エイジングは年数でなく、水分含有量が大切。コーヒー豆は麻の袋に入って重量で取引されるので、輸出時から輸入時に水分含有量が減って重量が変わると通らないため、温度管理などをして水分含有量を13%から14%の間でキープし、横浜の港に着いたものを山梨まで運びます。そしてエイジングで、11%くらいまで乾燥させます。
 豆を乾燥させるにあたり、「磨き」という作業で、豆についた薄皮を取り除きます。この「磨き」は他社がやっておらず専用機械がないため、精米機を改造してつくっています。
 乾燥させているので、強火で焙煎すると豆が割れてしまいます。そこで他社にはない作業として「蒸らし」という工程を入れます。そして時間をかけてローストしていくので、酸化しづらい水分の少ない珈琲豆ができます。

アコメヤ:コクテール堂さんの珈琲は、本当に純度が高い。雑味がなくて美味しい。不純物が極端に少ないですよね。この味わいは、そのような手間ひまをかけた工程のおかげなのですね。

パッケージの特長

アコメヤ:コクテール堂さんの珈琲は、パッケージも特殊な加工をされているのですよね。

中山さん:はい。クラフト袋で、一見よく見る袋なのですが、通常は紙・アルミ・PPの3層構造のところ、紙・アルミ・PP・アルミ・PPの5層構造にしています。開封してから1週間後に飲んでも美味しさを保てるか、飲んで検証しながら作成しました。遮光性と防湿性を高めています。


お家での保存方法

アコメヤ:保存方法での注意点はありますか?

中山さん:コーヒーが一番嫌がるのは、温度変化です。一番いいのは常温です。1か月くらいは常温で大丈夫です。それよりも長く、いろいろな種類を楽しみたいので保存したいという場合は、冷凍庫がおすすめです。冷蔵庫だと湿気やにおいを吸ってしまう可能性があるので、冷凍庫で。豆の水分が抜けているので凍りません。冷凍庫から出したら、常温の時と同様の入れ方で大丈夫です。


アコメヤの「和食に合う珈琲」とは

アコメヤ:「和食に合う珈琲」の特長はどんなところでしょう?

中山さん:これは私の解釈ですが、洋食では料理に砂糖やみりんは使わないので、イタリアなどでは食後にケーキなどの甘いものを食べたりしますでしょう。そのケーキに合う珈琲となると、やはり味のしっかりしたものになると思うのです。
 和食は、焼き魚などでも砂糖やみりんを使うので、食後に甘いものを食べる習慣があまりなく、どちらかと言うと口の中を洗い流すようなイメージの、さらっとした珈琲がいいのではないかと思っています。
 酸味や苦味などのはっきりした特徴のあるものではなく、バランスが良くて抑えめなものがいいのではないかというのが、この「和食に合う珈琲」の開発コンセプトです。

アコメヤ:洋食には比較的酸味や苦味がしっかりした味、和食にはひかえめな味なのですね。

中山さん:そうなんです。国によっても考え方が違うのですが、例えばイタリアは縦に長いので、南の方のナポリに行くとトマトやオリーブオイルを使った料理が多いので、ダークローストのコーヒーを使います。一方、北の方に行くとフランスに近く、バターやクリーム系を料理に使うので、どちらかというとミディアムローストのあまり深くないコーヒーを使うのです。大体、ローマあたりで分かれています。


珈琲豆のロースト段階別ペアリング

アコメヤ:アコメヤオリジナル珈琲それぞれに合うペアリングを教えてください。

中山さん:「中深煎り」は、和食のあとに召し上がっていただくコンセプトです。「深煎り」は時間をかけて焼いたスモーキーな味わいなので、しっかり甘味のあるあんこや羊羹、練り切りなどに合います。

アコメヤ:和菓子と珈琲、和菓子には日本茶だけではないという、新しい提案になりますね。

豆と粉の違い

アコメヤ:アコメヤの珈琲は、豆タイプと粉タイプで販売していますが、味わいの違いはありますか?

中山さん:豆タイプの場合は、豆の中に炭酸ガスが入っているので、豆を挽く時によい香りを感じます。ドリッパーの中に挽きたての豆を入れてお湯をかけると泡が出ます。これはそのガスが豆の油に反応したものです。泡が出て粉が膨らむので、粉と粉の間が開いて、お湯をかけた時にさっとお湯が抜けて、味が薄めに出ます。香りが良くて飲みやすい液体になるのは、豆の挽きたてです。
 粉タイプは、ある程度ガスが抜けた状態なので、お湯をかけた時に泡が立たず、しっかりとコーヒーの成分を吸い込んでドリップされて、濃度が出ます。
 お好みに合わせてお選びいただければと思います。

アコメヤ:ありがとうございました。



コクテール堂の中山さんの「コーヒー愛」を一貫して感じるインタビュー。
コクテール堂さんのコーヒーへのこだわりが詰まったアコメヤの珈琲。ぜひお試しくださいね。