おにぎりで結ばれる「米と海」のご縁|AKOMEYA TOKYO

カテゴリから探す

おにぎりで結ばれる「米と海」のご縁

アコメヤにとって一年で一番のお祭りである「新米祭り」。2023年のアコメヤの新米祭りのテーマは、「米と海」です。
2021年は「めぐる、みのる。」をテーマに、環境に配慮したお米である「シギの恩返し米」「世界農業遺産米」などにフィーチャーし、2022年は「つなぐ、つづく。」をテーマに日本の伝統調味料を支える木桶での発酵に着目、伝統を継承する作り手とその使い手であるお客様とをつなぐ「つなぎ手」となるべく取り組んできました。
そして今年2023年の新米祭りでは、「米と海」をテーマに掲げ、日本の食を支える「農業」と「漁業」から生まれるものに着目。環境への配慮や伝統の継承の現場に迫ります。


出汁の起源「しおかつお」
まず海の方でフィーチャーするのは、新商品の「だし塩」に使われている「しおかつお」。
出汁は和食の基本であり、中でもかつお出汁が最も使われていますが、そのかつお出汁の起源といわれているのがこの「しおかつお」です。
「しおかつお」は、生かつおを塩蔵乾干ししたもので、かつて全国で作られており、江戸時代には庶民の間でよく食べられていましたが、現在では静岡県の西伊豆町でしか作られていません。
日本で唯一西伊豆町だけに「しおかつお」作りが残った理由は、古来より縁起のよいものとして航海の安全と豊漁豊作を祈願して、お正月には稲藁でお飾りをした「しおかつお」をつるし、神棚にお供えする神事が残っているためです。別名「正月魚(しょうがつうお)」とも呼ばれます。
西伊豆町田子地区の鰹加工の歴史は、約1,300年以上前までさかのぼります。
かつおの干物「荒堅魚(あらかたうお)」が、この田子地区から日本の都に税として納められていたという記述が、奈良の平城京跡から見つかっているのです。
その後、「しおかつお」が保存食として作られたのが、日本の「かつお出汁のはじまり」と言われています。


山を守り海を守る「手火山式焙乾製法」
田子では本枯れ鰹節の「田子節」も作られており、その歴史は300年以上。江戸時代には、鰹節の三大名産地の一つに認定され、江戸に最も近い生産地として、本枯れ鰹節の基礎を築いたのがこの田子地区でした。
その田子節や、今回アコメヤで新発売する「だし塩」に使われている「しおかつお」には、昔ながらの製法である「手火山式焙乾製法」が施されています。外側が焙乾されることで旨みが一気に中に閉じ込められ、においを寄せ付けません。
炉の直火でかつおを焙乾するこの製法には、西伊豆の山から伐採される間伐材のナラ・クヌギ・サクラを薪として使っています。
これは、「山を守ることが海を守ることになる」という、地域の自然環境を守る昔からの工夫です。


「だし塩」を通して「しおかつお」の文化を伝えたい
写真左:三角屋水産 中島さん/写真右:カネサ鰹節商店 芹沢さん
日本で唯一田子地区で作られている「しおかつお」ですが、昔ながらの製法で稲藁で飾り付けをした「しおかつお」を年間を通して作り続けているのは、現在カネサ鰹節商店の5代目、芹沢安久さんだだお一人となりました。
その「しおかつお」の文化を後世に継承していくために、芹沢さんは「西伊豆しおかつお研究会」を2009年に立ち上げられ、地元での食育活動や、ご当地グルメの「西伊豆しおかつおうどん」の考案、世界各国の食イベントでのPRなど、精力的に活動されています。
その研究会の副会長が、同じく田子地区にある三角屋水産の中島さん。今回、アコメヤで新発売する「だし塩」は、この三角屋水産で製品化されました。
西伊豆の「しおかつお」を日常の食に取り入れやすいかたちにして、しおかつおの文化を知っていただくきっかけとなるよう、「だし塩」のかたちにしました。
「だし塩」は、最も身近な和食である「おにぎり」にはもちろん、うどんやラーメン、パスタなどの麺類や、フライドポテトやポテトチップス、そのままお湯に溶かしてスープにするなど、あらゆるメニューに取り入れやすく、かつおの他、鯛・帆立・伊勢えびと、味のバリエーションも4種類でお好みで使い分けられます。
新米とともに、ぜひお楽しみいただきたい逸品です。


おにぎりで結ばれる「米と海」のご縁
今回新登場の「だし塩」を使ったおむすびで、米と海のご縁を結び、地域と地域のご縁も結びたい、という願いから、今回の新米祭りの商品の生産者の方々に、「だし塩」を使ったおむすびを味わっていただきました。
お米は「シギの恩返し米」をセレクト。アコメヤで2021年から販売をスタートした「シギの恩返し米」は、日本で最も多くシギ・チドリ類が渡来する、ラムサール条約湿地登録もされた「佐賀県東よか干潟」の隣接地域で作られているお米です。絶滅危惧種の野鳥や植物、魚類が生息する美しい自然の土地で、生きものと共生していくため、「シギの恩返し米」プロジェクト推進協議会とWWFジャパン(世界自然保護基金)が協業。生物多様性の取り組みを含めた米作りをスタートさせました。AKOMEYA TOKYOもその活動に賛同し、商品開発と販売に参画。責任ある農業推進プロジェクトとして5カ年計画でスタートし、今年は3年目です。
「手火山式焙乾製法」で地元の自然を守りかつお加工を続けている西伊豆田子と、干潟の生物を守り米作りをする佐賀県東よかとの出会いです。

まずは、カネサ鰹節商店の芹沢さんと、三角屋水産の中島さんに召し上がっていただきました。
「だし塩でお米の甘さが引き立ちますね!すごい甘い」「美味しい!お米の粒感が大きく感じます」
だし塩によってお米の甘みや粒感が引き立つというコメント。海の食材との出会いで、お米の魅力がさらに増したのは嬉しいマリアージュです。
続いて、「シギの恩返し米」を作られている生産者の古川さん、内田さん、横尾さん、徳久さん、そして佐賀市東与賀支所職員の北村さん、坂上さんにも召し上がっていただきました。
「かつおの風味がほのかに効いてちょうど良い」「シギの恩返し米の美味しさを引き出している」「夏場の暑い時に食欲をそそる味付けで、ご飯がすすむ」「二日酔いの時に食べたくなる味わい」「そのままお湯に溶かして汁物でも良いと思う」
味の感想をたくさんいただけました!かつおの風味と塩味が、シギの恩返し米の美味しさを引き出していて、夏場や二日酔いなど食欲の落ちている時でも食べたくなる味だそう。汁物にもよさそうですね。


食卓にひろがるご縁の輪

こうして、静岡県西伊豆生まれの「だし塩」と、佐賀県東よか生まれの「シギの恩返し米」が出会うことで、さらに美味しさがアップした今回のご縁。
そのご縁が、みなさまの食卓でも結ばれていき、おいしい輪がひろがることで、日本の農業や漁業が守られていく未来につながりますように。
アコメヤはこれからも、「一杯の炊き立てのごはんから広がるおいしい輪」をコンセプトに、そんなご縁を伝え続けていきたいと思っています。

関連記事はこちら
<商品はこちら>